2007年05月17日

レジスタンスとサルコジ

フランスの大統領となったサルコジの就任の日の無名戦士の墓の前での演説が興味深い。
ここでフランスのゲシュタポによって射殺された17歳のレジスタンスの遺書が読み上げられ、これをフランスのすべての中学校で読むように教育省に言うと述べた。そして、レジスタンスの行為がフランスへの愛国的行為であったと讃え、これを思い起こすことを強調した。

ドイツ・ナチスへの抵抗という側面でだけ見ると、レジスタンスの行為を賞賛する向きもあるだろうし、そういう見方を続けてきた人も多いだろう。しかし、このようにサルコジに愛国的行為として純化されてしまうと、その行為自身の意味を捉え直してみたくならないだろうか。
死を無意味と捉えない遺書は、むしろ、本当は生きのびたかったことへの無念さとして読むべきではないか。国家間戦争を廃棄する方向として、サルコジのように捉えていいのか、移民問題と共に捉え直しを要請しているように思われた。

他方、フランスの大統領がハンガリー系だということ、その夫婦が再婚だということ、妻もスペイン系だということ、子どもたちもだから多文化的だということ、そして、形式的結婚状態にあるということ、これらは、サルコジの移民規制や家族に関する言説との差異を意識させる。興味深い転形期であることを予感させる。


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